7月23日金曜日晴れ

久しぶりの新規追加である。次から次へと、いろんな案件や質問が来る。選れば良いのだがつい相手方の切望に屈してしまう。その中で、も興味深い案件は、FS県の裁判員裁判で刑事訴訟では始めての『無罪』が出そうだ、内容をFAXするから、コメントを、というものだった。その記者君はよく内容を把握していた。私の質問に対し即答してくれた。その質問のひとつで出血血液に凝血が混じっていたことが判明したが、それについての論議は無かったと聞いた。深い法医学的意義が存在するのにと思い、判決に影響するかなと畏怖を感じたが、結果、無罪になることは無く、有罪であった。法医解剖の勝利である。・・・・私が常に重要視しているのはこの”法医学的意義”である。一般的には一目で終わりそうな所見に法医学的意義があり、死因に直結するようなものが潜んでいる。

京都教育大付属に赴き非常にやる気のある学生諸君にこの法医学的意義を話してきました。そして、法医学的にものを申すということは、夜空に点在する星と星を結んで星座を見つけるような作業だと熱弁をぶってきました。約3時間。(笑)

7月16日金曜日 曇り

いつもは午前中に新規追加をするのだが、児相が被蓋児を診察に連れてきたり、たまっている鑑定書を書いていたら交通事案の司法解剖が入ったりしたもので夕方になってしまった。司法解剖に長い時間費やしたが交通事故死には間違いないが、なぜ事故を起こしたのか今日のところはわからなかった・・・明白なる器質的病変は無い。想像の域は脱しないが、運転中、何かを探していたのか、今問題になっている”ながら携帯”のせいなのか、それとも、何か不意に目の前を横切りそれを避けるために事故ったのかは、法医の許容範囲外になる。しかし、あきらめない!病理学専門医のコンサルの基、意識障害を起こした可能性もあるので、究明は続くのである。明日は、京都教育大付属に講演に行きます。・・・・・

7月14日水曜日(雨)

116体目の司法解剖が終わった。結論からの述べると、他害を示唆する要件は乏しい。ほぼ全身に及ぶ高度腐敗性変化のほかに、頚部に周回する索痕のようなものを見つけたという。実に興味深い。解剖前CTを終え、早速、外表所見検査を行ったが索溝でも索痕でもない。私が検すると一目瞭然なのだが・・・・死体は語るとかいう方がいらっしゃるが浅知恵しかお持ちで無い方には語ってくれない。悪臭の生える解剖に立ち会った方々だけに、ご褒美に、どう御遺体が語ってくれたか教示してあげた。(合掌)

7月12日月曜日(雨)

昨夜からは参院選開票、夜中はFIFA決勝戦、朝はUSWGA全米女子オープンと寝不足気味だけど、なぜか少しハイ気味である。やることはやまほどある。どれから手をつけようか?サッカーは接戦の上、スペインの勝利、お見事!お見事といえば、スペイン優勝を予言したドイツの水族館の”タコ”である。決勝リーグの勝者すべてを予言、100発100中である。大脳が非常に小さいといわれているこの軟体動物、直感というものは、やはり、脳幹にあるのかな(笑)

7月9日金曜日 雨になった

最近、世間では大麻汚染や賭博による大相撲界内蔓延がクローズアップされている。それに呼応して、本日夕方、なにやら学生君たちに訓示することになった。 私が言いたいことは端的である。つまり大麻使用や賭博関与で有罪になろうなら医師になっても医行為ができないということだ。医学法律教育後進国のわが国であるから出てくる幼稚な教授の話に交通違反しても医師国家試験を受けられないとか違反を犯した医学生は別室で試験を受けさせられるとか、実に辟易で失笑ものである。法律枠をごちゃごちゃにしている。医学部卒業生が無事試験を合格しても、医業をなすための医籍登録申請書には上記の有罪を受けた者が申告するところがちゃんとあり、医道審議会で裁かれる。・・・・

7月7日水曜日曇り

車にて出勤途中、私の前を無謀に往来する車やバイクや人々を見て、最近、常に思うことがある。なぜ人々は他を優先するために、立ち止まったり一歩後ろに引いたりしなくなったのか?私の職場の食堂の出入り口は狭くドア一枚分しか開閉せず、繁忙時間帯になると食べにきた職員と食べ終わった職員が我先に突っ込んでくる。情けない。誰も譲らない。特にひどいのは多くのご年配の看護師である。年の功を感じない。非常に幼稚である。      高校時代登山部にに入っていた私は、2000メートルを超える連山をよく歩いた。無事、下山に入ると疲労も募り、重い装備のつらさをあり、一刻も早く開放されたいのだが、そういうときに限って、登山道は狭く、はるか遠方に登ってくる隊と遭遇する。そんな時、下山組は何があろうと待つ!ひたすら彼らが通過するのをじっと待つのである。通過のとき、挨拶するもの、しないものさまざませはあるが、その彼らの顔をみてすぐわかる。ありがとうの表情が・・・そんなことを回顧しながら大学に到着した・・・・・

7月5日月曜日曇り

今日の司法解剖で到着時間を8時であったのに、私が七時に出勤時にはすでに着いていた。すぐに解剖前CTを撮り解剖に着手した。脳挫傷があった。今は当日発行の死体検案書に直接死因、その原因、経過時間、動態など外因死場合、肉眼的に明確に判断ができないことのほうが多いため検索中になることが多い。今回も御他聞にもれず組織化学的検索中とした。解剖で得る情報は鵜呑みにしてはならない。たとえ家族であっても場合によっては不都合が生じ、嘘をついたり、不正確になるからだ。犯罪を見逃さないためには細心の注意が常に伴う。とかいってるうちに、また、司法解剖の要請が入った・・・・・・