8月8日月曜日晴れ

法医学者から見た裁判員裁判の現状:約3年前、裁判員裁判が始まると聞いたとき、素人が判事するとはもってのほかだと思い、大反対だった。しかし、そんな思いとは裏腹に、どんどん制度化は進み、私も現状を真摯に受け入れ、証人として出廷したときは、素人の裁判員にすばやく明確に理解してもらおうと、アニメーションつきのパワーポイントを作成し、好評を受けた。その結果、求刑よりかなり重い判決が下りたこともある。これは、元来の裁判ではまずあり得ないだろう。このように、世俗の考えが、既存の判例を超えることは世間に即してよいことだ。しかし、死刑のような極刑については、はなはだ問題が残る。この世から一個人を抹消するという行為が、その極悪人の素行を逸脱し、素人が正しく判断することはできない。私は、やはり、他国の陪審員のように無罪有罪を決定しても、罪の過量を決めるべきではないと思うし、日本のこの制度以外に、素人が罪の過量まで決める国はない。