平成23年7月6日水曜日 曇り

法医学者としてのやりがいとつらさ、奥深さ:法医学者は医療過誤や医療事故の発生時、常にそのときの医療水準に基づいて鑑定を行わなければならないので、臨床経験は不可欠です。いろいろな標榜(科)を浅いですが渡り歩き、『生』も『死』も携わることができ、私の性格からして、何のものにも貪欲に関わり、それを知識とし、一つの事象をいろいろな方向からものをいえる学者になるには法医学が最適でした。医学だけではなく物理も化学も数学もあらゆる知識が必要で考え、推認する。それが論理的でその事案の解決にばっちり符合したときの達成感は感無量です。私にとって、法医学を続けて本当に良かったと思う瞬間です。しかし、解決したからといっても、犯罪が一つ確定するだけです。花形な外科医などと違い、あまり感謝はされませんし、とても地味で、臨床の先生と比べたら薄給です。美人の看護師さんもいません(笑)。

法医学は奥が深く、まだまだ、確立されていませんし、法医学は応用医学に含まれ、目覚しく科学の進歩を、応用しなければなりません。例えば、私が積極的に導入した法医学教室専属CT装置を用いての遺体非破壊検査や一塩基多型(SNPS)解析機の法医学的転用もそうです。先達から引き継がれた貴重な知識と最新の機材とのコラボ、まだまだ勉強しなければならないことが山積みです。